【秋の七草】 フジバカマ は平安の香り
秋の七草
春の七草は、お正月が過ぎた一月七日に七草粥を食べるという風習から、ご存知の方も多いと思いますが、秋にも七草があるというのをご存知でしょうか?
秋の七草
萩(ハギ)・尾花(ススキ)・葛(クズ)・撫子(ナデシコ)・女郎花(オミナエシ)・藤袴(フジバカマ)・桔梗(キキョウ)
秋の七草の由来は、万葉集の中にある、奈良時代の歌人 山上憶良(ヤマノウエノ オクラ)の歌に秋を代表して鑑賞する花として詠まれていることによるとされています。
【山上憶良の万葉集の歌】:『萩が花尾花葛花撫子の花女郎花また藤袴朝顔の花』
最後の朝顔の花というのには、解釈が分かれているそうです。
現在最も有力とされている桔梗(キキョウ)の他に夕顔(ユウガオ)、朝顔(アサガオ)、ムクゲの花など諸説があります。
平安の香り フジバカマ(藤袴)
フジバカマはキク科の植物で、古くに中国から伝来して日本に帰化したものといわれてきましたが、現在では元々日本の在来植物であった可能性が高いと考えられているのだそうです。
中国では香りが良いところから蘭草、香水蘭と表記されるそうですが、日本書紀に記載がある蘭というのはフジバカマのことだそうです。
フジバカマは生のままでは香りを感じることはできませんが、乾燥させるとオルトクマリンという桜餅の香り成分やチモヒドロクイノンという香り成分が生まれてとても良い香りになります。
よくフジバカマの香りは桜餅に似ていると言われますが、もっとお香のような奥深い香りです。
万葉時代から、蕾の出た頃に全草を刈り取って風通しの良いところで陰干しして乾燥させてから刻んで匂い袋や入浴剤にしたり、洗髪に使って香りをつけたり、引き出しに入れて衣に香りを移したりと非常に大切な香りとして使われていた様です。
ただ、フジバカマは川辺の土手や斜面が適した生育地ですが、近年河川の護岸工事が進んでいる影響で適地が激減してしまっていて、準絶滅危惧種となっています。
観賞用として植えられていることも多いので、そっと眺めてみてください。
フジバカマの香りのお香
フジバカマの香りを感じてみたい方は、お香がおすすめです。
以前京都に行った時に見つけたフジバカマのお香です。
松栄堂のお香《秋草のたより 藤袴》
松栄堂さんは、フジバカマの保護育成に取り組んでいらっしゃるそうで、このお香には京都で栽培しているフジバカマを刈り取って原材料にされているのだそうです。
匂い袋もある様ですよ。
本物のフジバカマの香りで、とっても良い香りなのでぜひ千年以上も昔から楽しんでいた貴重な香りを体感されてみてはいかがでしょうか。